和歌山記念3日目の場外発売が終わった5時すぎ。今日ラーメン屋は休業なのに、店主のマサさん、常連のトミさん、タナカ君、それに小柄な50歳くらいの男性が座っていた。この男性は今日、知り合ったばかりの落語家さん。何の会かというと、予想会の反省会なんですね。この開催は4日間、いろんな人がペアになって後半の5レースを予想するイベントが企画された。
昨年の寬仁親王牌の場外発売のときにやった予想会で、なぜかマサさんの評判がよくて、また声がかかったとか。今度は競輪大好きの落語家さんとペアを組んでの登場。マサさん、師匠と呼び合って、競輪愛が伝わってくる、いい掛け合いだったけど、なんとご両人とも全敗。2日目までは二人合わせて4個以上は当ててたのに。観客から「予想会じゃなくて、妄想会かっ」って声がかかってた。開催者さんは、お二人のトークは面白かったし、お客さまも喜んでいましたよ。またお願いします、と言ってくれたらしいが…。
3連単32万円が出た11R、永澤剛の2着はわかってたのにとか、最後は東口善朋が古性優作を差すのは考えてたんだとか、反省会?いや、後の祭り大会。こちらも予想会前にいろいろ言いすぎた。“船頭多くして船山に上る”。いい大人が競輪の予想会で当たらなかったくらいで、ああだこうだ言い合ってる姿を世の中の人たちは信じられないだろう。滑稽で笑っちゃうけど、聞いてほしい。これがいい大人なのだ!成人したばかりの若者たちよ。
面白かったのは師匠の持ち込み企画。師匠が最終レースで予想した目を、自分用の車券とは別に、100円ずつ買い、競輪クイズを出して、正解した観客にその車券を1枚ずつプレゼント。8レースの予想のときからやっていたけど、問題のセンスがいい。「昨年のKEIRINグランプリ、4着は誰だったでしょう?」、「中野浩一さんが世界選のスプリントで10連覇した翌年、やはりスプリントで優勝した日本人は誰でしょう?」うん、と考えさせる。いいとこ突いてる。
反省会もそろそろお開きのタイミングで、20歳くらい年下のタナカ君がひとつの提案。「明日、金澤竜二から買いませんか。1着、2着で3連単全通り」。
金澤は福島の38歳の先行選手。昨年7月、1年ぶりにS級に復帰。最初の2場所は力を発揮できなかったが、9月の静岡最終日の一般戦でまくって勝ってから、負け戦で勝つんだ、これが。そのあと前回まで11場所を走り、7勝、2着2回。初日はFⅠでも記念でも5着以上がないのに、負け戦では先行もまくりも4回ずつある。しかもその開催で1日だけ連に絡むのだから、いい配当にありつける。いいところに気づいたね、タナカ君。うんうんとうなづくみんな。もう気持ちが浮き浮きしてる。この気持ちの切り替えがいい大人なのだ!若者よ。
11時前にまた店に集合した5人。もちろん狙いは3Rの金澤竜二。最終バックでは「まくれ、まくっていけ」の声が出たけど、5着。今回の和歌山記念は残念ながら確定板にはあがれなかった。
金澤の走行についてあれこれ言い始めた、この大人たちにいい年はくるのだろうか。