2023UCI世界選手権(イギリス・グラスゴー)で、中野慎詞選手がケイリンで銅メダル、窪木一茂選手がスクラッチで昨年に続き銀メダル、今村駿介選手がオムニアムで銅メダル、内野艶和選手がポイントレースで銅メダルを獲得しました。
羽田空港についたばかりの疲労困憊ながらも、パリ五輪に向けてやる気に満ち溢れている中野選手、窪木選手のインタビューをご覧ください。
中野慎詞 - ケイリンで金メダルを獲りたいです!!
-今大会を振り返ってどうでしたか?
「初出場の世界選手権だったんですけど、パリ五輪前最後の世界選手権で、僕にとってはここで成績を残すしか後がないような状況だったので。成績が残せてすごく嬉しいです!」
-手応えは?
「銅メダルでしたが、レースを振り返ってみるとまだまだ改善点がたくさんあって、最後に(ケビン・)キンテロ選手(コロンビア)が仕掛けたところで出遅れてしまったんですが、そこで先に仕掛けてたら、メダルの色が変わっていたかもしれないと思うと、そういう小さな積み重ねが金メダルに届くかどうかの違いになってくると思うので、二度と同じようなミスなどをしないようにしていきたいです」
-そういったところが改善されると何色のメダルが獲れそうですか?
「今回も出場前に『金メダルを狙ってきました』『金メダルを獲るために練習してきました』『メダル獲りたいです』とコメントをしていたんですが、言いながら『本当にこんな発言をしていいのかな…』と自分の中では思っていて。まだネーションズカップでしか金メダルを獲ってないですし、世界選手権も初出場で、こういうことを言っていいのかなっていう気持ちもあったんですけど、こうして銅メダルを獲ったことで目標が明確になったというか、次は金を狙いたいという気持ちがすごく強くなったのでまた頑張っていきたいです」
-改めて、この大会はどのようなものとなりましたか?
「パリ五輪に向けて、その前の世界選でいい成績を残せたので、パリでは金を獲るんだという強いモチベーションに変わりました。ジェイソン(・ニブレット)コーチともたくさん話して、『改善点はたくさんあるから、これからしっかり取り組んで、辛い練習もあるけど、しっかり乗り越えていこう』と言われたので、覚悟を決めてトレーニングに励んでいきたいと思います」
-パリ五輪に向けての意気込みは?
「パリ五輪では金メダルを目指して頑張ります!」
-ネーションズカップと世界選手権の舞台、どのような違いがありましたか?
「世界選手権はどの選手も仕上げてきてますし、アルカンシェルを着たいと全員が思って目指してきているのでレベルも違いました。レースでは、残り3周のペーサーが退避するところも、皆、前々に出たいからハイペースになっていくし、そういった部分もネーションズカップと違いました」
-今回は最終日のケイリンまで出場がありませんでしたが、待っている時のモチベーションはどうやって保ちました?
「モチベーションというよりもめちゃくちゃ緊張しました(笑)。どんどんカウントダウンが始まっていて、自分のレースが近づいているけど、もうレースが終わった選手もいるし、『うわ〜次俺じゃん!』みたいな感じで(笑)。例えば、ご飯を食べにいくにしても、大会の序盤の方はレースのスケジュールもあるのでだいたい皆が同じくらいの時間に行くんですけど。でも大会が進んでいくと皆いなかったり、自分一人でご飯を食べたりとか、ただただ緊張していきました(笑)。これまでないくらいに緊張しました。
レース前というか、ウォーミングアップの段階になってしまえば緊張は抜けるんですが、それまでにすごい緊張しちゃって。でも、緊張が集中に変わる感じで、良い状態で臨めたのかなとは思います」
-オールスターへの意気込み
「ケイリンと競輪はまったく別ですので、競技がよかったから競輪もってモチベーションを保つよりかは、競輪は競輪で自分のレースをしたいです。まだまだ競輪はレース経験も少ないですし、たくさん経験しなきゃいけないですし、のびのびとレースができたらと思います」
-ものすごく疲れていると思いますが?
「そうですね、疲れました。ストレスでニキビができました(笑)。まずゆっくり休んでから、鉄フレームに全然乗れていないので少し乗りたいとも思ってます。まずはゆっくり休むのは決めてます」
-課題は?
「詳しい振り返りは伊豆に帰ってからしようって話しているのですが、今回感じたのが、世界に比べてダッシュ力が劣っているのかなと感じたので。思いっきりダッシュしたつもりなのに合わせられてしまった場面もあったりとか、その他、レースの中でも車間をうまく利用して前に出ていくというのがまだできていないので、やるべきこと、改善すべきはたくさんあるなと感じています」
-練習するしかないという感じですか?
「練習というよりも実戦でしか磨けない部分なので、残されたレースの中で頑張っていきたいと思います」
-ケイリンは日本発祥の種目ですが、そこで日本人選手に金メダルを獲得してほしいです。
「もちろん日本発祥の種目でもありますし、僕自身、ケイリンが一番の得意種目なのでこれで金メダルを獲りたいと思っています」
窪木一茂 - 今回の結果を踏まえて残り1年、もっと頑張らなければと強く思っています!
-2年連続の銀メダル、振り返っていかがでしたか?
「スクラッチは昨年2位だったので、今年こそは世界1位を目指していたんですけど、届きませんでした。けど、昨年から力をキープできていると思えば満足できる結果ですし、日本チームに流れを作れたかなと思うので、すごく嬉しかったです」
-差はどういったところですか?
「表彰の時もすごく金が羨ましかったですし、昨年は周りの反響がすごく大きかったんですが、今年はあまり盛り上がっているように感じなくて、ホテルに帰ってからもあまり連絡なくて、自分で『みんなありがと~!おやすみ』って言ったら、皆がドアから顔を出して『帰ってきてたの?』みたいな盛り上がりだったので、やっぱり銀じゃダメだったなと思いました」
-金メダルに届くには、あとは何が必要でしょうか?
「最後の1周、2周で自分から風を切り、先に仕掛けるだけの気持ちの強さが必要だったなと思います。仕掛けて後方に沈んだらダメだとかと思うけど、そこで不安をふり払って『行ってみろ』って突っ込んでいくような気合が足らなかったかなと思います」
-そのためには、今後どのような練習が必要でしょうか?
「他の種目でも成績は上がっているし、強化はできていると思うので、来年に迫ったパリ五輪に向けて、マディソンもこの結果には満足していないですし、今回の結果を踏まえて残り1年、もっと頑張らなきゃって強く思っています」
-パリ五輪への意気込みは?
「競輪選手になったことでスピードやパワーを培って、それが今回の大会でも証明できたと思いますし、自信にもなりました。もっと持久力をつけた上で、競合相手に絶対にメダルを獲るんだ! という強い気持ちで頑張っていきます」
-今村駿介選手と組んだマディソンもメダルが期待されていましたが、そこに足りなかったのはどのような部分だったんでしょう?
「日本チームとしてチームパシュートにフォーカスしていたので、どうしてもチームパシュートの練習がメインだったので、1時間走るようなトレーニングが欠けていたのかなと終わってみて思います。でも、チームパシュートで五輪に出られたら、他の種目もついてくるので、そこへの意識が強過ぎて、そこが足らなかったかなと思います。
オムニアムには出ないから、(マディソン向きの練習をしなくても)大丈夫かなと思っていたんですけど、オムニアムとマディソンは似ている部分があるので、もうちょっと練習の幅を広げるべきだったなとは思います。
ですが、手応えも感じた部分はあったし、ここから1日1日を大事にやっていくしかないですね」
-手応えはどんな部分ですか?
「試そうと思っていたことを試せたので、でも、やっぱり通用しなかった部分もありました。ラスト100周から攻めて銀メダルということをネーションズカップで実践できていますし、今回は初回のポイント周回から絡んで、それがダメでもいこうと考えていたんですが、結果的にはできなかったけど、この戦い方ができなかったから、次はどうするかを今村選手やコーチと考え直してやれるという気付きがあったかなと思います」