再ブレークへ
歴代の顔の怖さの御三家は、後閑信一(群馬・65期)、森内章之(熊本・64期)、鈴木健(岐阜・64期)と言われている。3人共に渋い走りを身上にしており、服装も“仁義なき戦い”の世界。白の上下のスーツに開襟シャツ、尖ったエナメル靴に、サングラス。ただ、見た目と違い、普段は紳士だったのを思い出す。
逆に中島将尊は、ガールズケイリンの選手かと思うほどの、優男(やさおとこ)。
引退したお父さん(義行・60期)は角刈りの職人マーカーだったし、これも意外だった。
現状、競走得点も90点を切っているが、唯一の勲章もある。
中島将尊は「あれは2020年の、地元前橋の親王牌だから3年前。三日目の負け戦で、単騎の6番車だったけど、特別競輪で1着を取る事ができた(笑顔)。まず、近藤隆司さんの番手の中村浩士さんを、内から飛ばした。その後、近藤隆司さんが内を空けたので、そのまま前まで行った。今度は別線の坂井洋君が最終ホームで飛んで来たので、上手くスイッチ。そのまま、最後は差し切って勝ちました。配当は超大穴で3連単は22万円の特大サイズ。タイトルホルダーの稲川翔さんもいたし、凄いメンバー。その後、同級生の小林泰正も、自分を意識したのか勝ちましたね。あの頃の練習量が10だとすれば、今は2ぐらい(苦笑)。だけど、やっと練習も身を入れてやる様になったし、自分の中では、これからだと思っている」。
あれがピークだと言わせない為にも、今後の精進は必要。小林泰正が同級生で、その1個下が佐々木悠葵と蕗澤鴻太郎。群馬王国復活は、彼らの力に掛かっている。
あの親王牌で魅せた、リミッターを切った前々勝負が出来れば、中島自身もS1返り咲きも夢ではない。
今開催準決以外は目標のあるレース。
結果は予選2着、準決4着、最終日2着。
「まだまだ自力選手のつもりだけど、今回は地元戦なので人の後ろで甘えました」。
まだ28歳だし、実績からも再ブレークは可能だとみたい。
~前橋競輪場から。