土曜日の昼下がり。いつものラーメン店で若い女性4人が楽しそうにラーメンをすすっている。
間違って入ったんじゃないかと、思わず店を出てしまった。店主のマサさんが厨房から慣れない笑顔で彼女たちと話している。おいおいおい。
マサさんがこっちを向いて手を挙げたのを見て、女性たちも俺に目を向けて、軽く会釈をしてくれた。自分でも意外だったけど、満面の笑みを浮かべて、こちらも彼女たちにペコリ。俺もイチコロだな。
この初老2人の様子を見ていた、やはり常連のトミさんがニヤニヤしながら近づいてきた。
嫌なところをみられちゃった。当然、何か言ってくるのかと思ったけど、さすがトミさん。
「高知の掛水泰範がいいねえ」。
よしっと、こちらも気持ちを立て直して、こう答える。
「俺も思ってた」。
昨年の7月にS級に復帰した掛水。10月の松山記念で落車。復帰戦の12月広島記念はさすがに確定板には載れなかったが、今年2月のいわき平。予選1着、準決勝3着で決勝に勝ち上がった。A級とS級を行ったり来たりしてたから、S級の決勝は2018年1月の小松島FⅠ以来5年ぶりのこと。決勝も準決勝と同じく山根将太、香川雄介の後ろを回って、今度は2着。
これで潮目が変わった。続く佐世保は2日目、最終日と負け戦だったが、バックまくり、2コーナーまくりで2連勝。まくった相手も小畑勝広、河合佑弥だから評価していい。
3月の松山記念では一次予選を1着で突破して、準決勝まで進み、最終日の特選で1着。
前を若手の自力型に任せることが増えて、彼らの頑張りも大きいが、今年10月に不惑の年を迎える「土佐のいごっそう」は、先行あり、まくりあり。自分で戦っていく脚も気持ちも衰えていない。
通算200勝まであと7勝(3月19日現在)。
今の勢いなら、今期中に達成してしまうな、きっと。
そして、冒頭の女性客4人のこと。昨年末の忘年会で会社の男性から、ここのラーメンの話を聞いたらしく、月1回のペースで、来てくれるようになったらしい。美味しいものを提供すれば、それがどこだろうが、足を運んでくれるっていうこと。
競輪場の新規ファン獲得への新しいアプローチだな、これは。
決まって土曜日に来るとか。
毎週、土曜日には顔を出そうかな。