デビュー3年以内の若手選手によるナンバーワン決定戦・ヤンググランプリ2022が平塚競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに実施される。数々のビッグレースで存在感を示している117期の寺崎浩平と山口拳矢や119期の吉田有希と犬伏湧也などの強豪揃いでかつてない激戦模様の上に、全員が自力型の細切れ戦だけに見応え十分のスピードレースが展開されるだろう。
寺崎浩平 福井 117期
寺崎浩平は昨年のヤンググランプリは終始最後方の展開となり、最終バックから猛然と捲るも3着に終わっているだけに、今年は積極的に動いて雪辱を期してくるだろう。6月のアジア選手権では男子ケイリンで金メダルを獲得とスピードはまさにワールドクラスだ。国内の競輪でも8月のオールスターでは準決で新田祐大や吉田拓矢を相手に古性優作を連れて逃げて3着に粘りGI初優出を決めている。11月の競輪祭は一次予選を突破できなかったが、4日目選抜は11秒1の上がりで逃げ切り、6日目選抜も逃げ切りと調子は万全だ。
山口拳矢 岐阜 117期
山口拳矢は、昨年は9月の共同通信社杯でデビュー後最速のGII制覇を達成、その勢いに乗ってヤンググランプリに臨んだが、勝負どころで町田太我の番手を奪うも高橋晋也に捌かれて5着に終わっている。今年も3月のウィナーズカップと8月のオールスターで失格と不運が続き、11月の競輪祭では二次予選Bで敗退と評価が下がり気味なので今回は汚名挽回な走りを期待したい。競輪祭の5日目特選では深谷知広との捲り合戦で2着ながら個人上がりタイムが11秒0、6日目特別優秀は脇本雄太相手に逃げて3着と調子は悪くない。
吉田有希 茨城 119期
吉田有希は3月のウィナーズカップでビッグレースデビューを果たし、一次予選で敗れるも2日目特一般で宇都宮の500バンクを逃げ切って初勝利を挙げている。8月のオールスターでは一次予選1で諸橋愛を連れての逃げ切りでGI初勝利を達成。9月の共同通信社杯では2勝をマーク。10月の寛仁親王牌では一次予選が捲って1着、二次予選Aは平原康多-諸橋愛を連れて逃げて3着に粘り初の準決進出と着実にレベルアップしている。11月の競輪祭では未勝利に終わったが、2走で主導権を取り切っており好調をキープしている。
石原 颯 香川 117期
石原颯は昨年のヤンググランプリでは町田太我と連係したが、勝負どころで山口拳矢に番手を捌かれて7着に終わっており今年は雪辱を誓って臨んでくる。今年は中四国勢が3人で、おそらく石原は犬伏湧也の番手を指名してくるだろうし、昨年の反省を胸に犬伏にしっかり食らいついていけば勝機は十分だ。今年は3月のウィナーズカップ、6月の高松宮記念杯、9月の共同通信社杯と落車が続いて波に乗れなかったが、11月の四日市記念では3走で主導権を取り切り2日目選抜では逃げ切りと復調気配だ。
町田太我 広島 117期
町田太我は、昨年は石原颯との連係で主導権を取りにいくも最終的には高橋晋也-小原佑太の北日本コンビに番手に入られて6着に終わっている。町田は単騎となる可能性もあるが、仮に単騎となっても徹底先行を貫く町田は「来るなら来い」とばかりに今年も先頭で風を切っていきそうだ。11月の競輪祭は5走のうち先行が2走のみとやや期待外れの結果に終わったが、9月の共同通信社杯では4走のうち3走で先行して逃げ切りが2回、10月の寬仁親王牌でも4走のうち3走で先行して2着1回、3着1回と好走している。
犬伏湧也 徳島 119期
犬伏湧也は3月の119期のルーキーチャンピオンレースでは最終3角4番手から捲って優勝している。そしてビッグレース初出場となった7月のサマーナイトフェスティバルでは予選が逃げ切り、準決が松浦悠士を連れての逃げで3着に粘りいきなりの決勝進出を果たし、決勝も逃げて6着ながら松浦の優勝に貢献している。8月のオールスターでは一次予選1で1着ながら二次予選で途中欠場、9月の共同通信社杯では二次予選Aで失格となったが、11月の競輪祭では二次予選Bで敗れるも5走のうち4走で先行と積極性は高い。
菊池岳仁 長野 117期
菊池岳仁は昨年のヤンググランプリは補欠だったが、今年は先行順位7位で出場を決めている。8月のオールスターでは一次予選1が逃げ切ってGI初勝利を挙げ、一次予選2が逃げて6着、二次予選が逃げて3着で初の準決進出を達成した。準決も結果は7着ながら逃げて吉澤純平の優出に貢献、6日目特別優秀も逃げて5着ながら宿口陽一の1着に貢献と先行力の高さをアピールした。11月の競輪祭も予選を突破できなかったが、5走のうち4走で主導権を取って2着が1回、3着が2回と健闘している。
松岡辰泰 熊本 117期
松岡辰泰は117期のルーキーチャンピオンレースでは同じ熊本の松本秀之助と連係、松本の捲りに乗って2着と健闘しており、今回も広島の町田太我の後ろが空いているならばそこを狙っていくかもしれない。今年は3月の玉野、7月の福井、8月の岸和田、10月の久留米のGIIIで決勝進出と好調を維持してきた。6月の高松宮記念杯では2日目からの補充出走ながら4日目一般で4番手から捲ってGI初勝利を挙げ、4日目一般では逃げて2着で小川勇介と九州ワンツーを決めており、今回も九州代表の名に恥じない走りを見せてくれるだろう。
橋本優己 岐阜 117期
橋本優己は今年1月からS級2班に昇格、5月の別府FIで捲ってS級初優勝を達成している。ビックレースは8月のオールスターで初出場を果たし、5日目一般で8番手から捲り上がり11秒0の好タイムでGI初勝利を挙げている。11月の四日市記念では一次予選で逃げて2着で柴崎淳とワンツー、二次予選は捲って2着で浅井康太とワンツー、準決も逃げて坂口晃輔の1着に貢献するとともに自身も3着に粘って決勝進出と大活躍だった。次場所の富山FIでは2度目の優勝を達成しており、今回も決して侮れない1車となるだろう。
ヤンググランプリ2021を振り返る
小原佑太が高橋晋也との連係から優勝
坂井洋-佐々木悠葵、高橋晋也-小原佑太、山口拳矢、伊藤颯馬、寺崎浩平、町田太我-石原颯の並びで周回。青板2コーナーから町田が上昇を開始するが、高橋が町田を牽制してから飛び出して先頭に立つ。続いて町田が赤板ホームからダッシュし高橋を叩いて先行態勢に入るが、町田の後ろには石原を捌いた山口が続いており、その山口を今度は高橋が捌いて町田の番手を奪ってしまう。前団は町田に高橋-小原の並びで最終ホームを通過するが、4番手は捌かれた山口と坂井と伊藤の3人が並走のもつれた展開となり、7番手に佐々木、8番手に石原、9番手に寺崎となる。最終バックでアウトの山口をどかした坂井がようやく捲りにいくが、3番手の小原に牽制されて失速、その空いたインに佐々木が突っ込んでいく。しかし、坂井を牽制した小原がそのまま車を外に持ち出し中コースを鋭く伸びて先頭でゴールイン、高橋が2着、9番手から捲り追い込んだ寺崎が3着に入る。
平塚バンクの特徴
冬場はバンクが重く逃げは苦しい
周長は400m、見なし直線距離は54.2m、最大カントは31度28分37秒。カントも直線の長さも標準的なバンクで、走路もクセがなくて走やすいので戦法的な有利・不利はなく力どおりの決着になるケースが多い。
しかし、バック側に相模川があり海も近いので冬場はバンクが重い。20年に開催されたグランプリシリーズでは3日間天候に恵まれて風もほとんどなかったが、大半のレースが11秒5前後の上がりタイムで決まっていた。今年はいわき平、岸和田、小倉など高速バンクでのGIが続いたので注意が必要だ。
それでも2日目のヤンググランプリでは地元の松井宏佑が最終2角8番手から仕掛け、最後の直線ではイエローライン上を鋭く伸びて10秒9と3日間を通してただひとり10秒台をマークしており、やはり力のある選手は侮れない。ちなみに初日のガールズグランプリでは地元の佐藤水菜の大ガマシを児玉碧衣が11秒7で捲って3連覇を達成している。
20年のグランプリシリーズの決まり手を見てみると、全33レースのうち1着は逃げが1回、捲りが19回、差しが13回、2着は逃げが4回、捲りが4回、差しが15回、マークが9回となっている。やはり重いバンクのせいで逃げがかなり苦戦しており、そのぶん捲りがよく決まっていた。先手ラインの選手が1着になったレースもわずか5回しかない。
最後の直線ではイエローラインあたりを捲ってきた選手がよく伸びていたが、中割り強襲で3、4番手の選手が頭に突き抜けるケースもよく見られた。2日目9Rの準決では島川将貴の逃げを寺崎浩平が捲り切ったが、寺崎の後ろは離れ、寺崎と寺崎を追う島川のあいだを割ったベテラン桑原大志が頭に突き抜け上がりタイムも11秒2だ。そして最終日のグランプリでは和田健太郎が最終4角5番手からインに切り込み、逃げる脇本雄太と、清水裕友の捲りを牽制して外に膨らんだ平原康多のあいだを鋭く伸びて1着、上がりタイムも11秒0で堂々の初優勝を飾っている。
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平塚バンク