ガールズケイリン10周年を記念して『ALL GIRL’S 10th Anniversary』『ティアラカップ』などが行われました。
1期生からずっとトップで戦ってきている小林莉子選手。彼女に10周年目をむかえた心境、大変だった思い出やこれからへの想い等をたくさんたくさん話してもらったロングインタビューです。
ファンの方々や業界全体に支えられて10年続いたと本当にしみじみ感じています
-改めて、小林莉子選手が10周年を迎えた心境は?
「今年になってから10周年ということで、ティアラカップも走らせてもらいましたけど、最初は実感なかったですね。10年頑張ってきたんだなって実感はなかったんですけど、昔の映像を見たりすると、色んな選手だけじゃなくて、ファンの方々や業界全体に支えられて10年続いたなっていうのは本当にしみじみ感じていますね」
-1期生の勢いがなかったら大変でしたよね。
「あれを勢いというのか、無鉄砲というのか、わからないですけど(笑)。
1期生がデビューして、最初は48年振りということで注目されたんですけど、慣れて、レースがちょっと単調になって、お客さんがちょっと離れて、それで2期生が出てきてっていう、最初の数年はその繰り返しだったかなというのはあります。今年、思ったのは毎年、毎年スター選手が出てきて、古株も頑張って、色々なレースが組まれるようになって、競輪祭もですけど、ああやって組み込んでもらえたりとかして、ガールズはここまで成長したんだなって思いますね。28名で2トーナメントを組めるようになるとは思わなかったですね」
-変わってきたのはどのくらいからでした?
「正直、定着したなって思ったのは5年目くらいかなって、私は思いますね。
最初の頃は、ずっと男子選手しかいないところに女子が入っていたので、それこそ男子選手もやりづらかったでしょうし、決まってないことも多かったので、今に比べると開催中の生活は大変でしたね。今は女子のお風呂を用意してもらえたり、女子専用の洗濯機があったり、控室が広くなっていったりと快適ですよね」
-最初の頃は大変でしたよね。
「今思えば正直きつかったですね(笑)。でも、男子選手もずっと入れていたお風呂が1時間女子の時間で入れなくなったりとか、浴衣をちゃんと着て上半身を脱いで歩いちゃいけないとか制約があったり、食堂で女子の席だけ隔離したりとか、生活面は最初の頃はどれがいいんだろうって試行錯誤をしていたと思うんですけど、今は快適ですね(笑)」
-初めは、ほとんどの場は急ごしらえでしたからね。
「すごい覚えているのが、控室が元車券を売る所の機械を撤去した所とか、コンクリートの所に畳を引いて座っていた時とか、夏は『暑いね…』冬は『寒いね…』って皆で言いながらいました(笑)。それを考えると今は、女子専用の洗濯機とかシャワールームとかお風呂ができて本当にありがたいです。ガールズのレースも後半に組まれると思うとありがたいなって思いますね」
- 最初に後半2レースに組まれたのが、トライアルでしたけどどうでした?
「もうなんというか、正直、心地悪かったです(笑)。慣れてなかったんで。競輪祭も後ろだったので、申し訳ないというか緊張しました(笑)。それができるくらい女子がお客さんを獲得できたのかなって思いました。まだまだ成長していかなければいけないんですけど、今の段階ではいいかなと思います」
-10年経って、選手層が厚くなったのは?
「感じますね! 本当に化け物みたいな子も出てくるし(笑)、逆にデビューしてからくすぶっていた選手もいきなりバンって開花したりとか、そういうのを見ていると選手層が増えて色んなことに取り組めるようになって、自分の持ち味を活かせるようになったのかなと思います。前は同じような相手とずっと戦っていたので、なかなか新しいことに挑戦って難しかったですけど、それもあるのかなと思いますね」
-その中でずっとトップで戦い続けることはどうですか?
「そうですね、1回目のガールズグランプリを獲らせてもらって、『ガールズグランプリ獲った人が……、そっか、もう10年経ったもんね…』って言われないように、本当にその気持ちだけですね。どこに行っても第1回ガールズグランプリ覇者って言われるし、だからこそ恥ずかしいレースはできない、簡単に負けられないって思って走って来た中での成績なのかなと思います。きついと言えばきついですけど(笑)、でもそれがモチベーションにもつながっているので、お客さんにも声をかけてもらえるし、応援もしてもらえるので、戦えるかなと思いますね」
-小林選手が自力から追い込みに変わる時はどんな心境でしたか?
「先行だけずっとやっていて、ガールズグランプリを獲った後にオッズが一気に変わったのが、次のレースで感じたんです。その中で、自分のやりたいレースとお客様に求められているレースってどこが正解なんだろうって自分の中で悩み始めて…、その次の年にオッズに応えなきゃいけないのと、自分のやりたいレースをして負けて納得してもらえるとは限らないので、そこで気持ち的にぐちゃぐちゃになっちゃって、3年目くらいから自分のやりたいことをやってお客さんの期待に応えられるレースは何だろうって考えるようになって、2期生、3期生って強い人達が出てきて、ただ単に先行して自分で満足してちゃダメだって思ったところから、変わりました。…本当に獲った次の年は苦しかったです」
-そんな苦悩を見せずに、いつも笑顔で隠しているから
「いやぁ(笑)、でも、一時期はレースに行くことがしんどく感じた時期もあったんですけど、でもそれが仕事でもあるので何とか、何とかって感じですけど」
-ガールズは賞金オンリーなのでガールズグランプリ出場するのは毎年大変ですよね
「本数のばらつきも出てきているし、色々と改善しなきゃいけないところもあると思うんですけど、本数を走っても優勝しなきゃムリだし、ケガをしないこと、勝ち続けることがガールズグランプリに出る秘訣だと思うので。ティアラカップで焦って転んでしまったので、ここからどう立て直すかが、また1つ成長につながると思っているけどね。
正直、鎖骨を折った時よりも痛かったです、打撲の方が(笑)。鎖骨が折れると手術してしまえば全然痛くないので、打撲ってけっこうダメージが大きいんだなっていうのを感じました。今、練習でちょっとずつ戻しているんですけど、ダメージ大きいですね」
-ケガと向き合いながらですね
「男子選手もそうですけど、強い人はケガに強いなって見ていて思うので、それも強い人の条件だなって自分の中に入れています」
-目標としている選手っていますか?
「難しいですね、この人というのはないけど、見ていていいなと思ったら取り入れたり、こうなりたいって思ったりとかはちょこちょこあります」
-開催で色んな選手を見て学ぶわけですね。
「見ますね。男子選手がどうやってアップしているのか見たりとか、レース後に会話とか聞いたり、話したりしますね」
-競輪祭とかサマーナイトフェスティバルは3日間あるのは大きい?
「大きいですね、すごく勉強になります。男子選手もずっとシビアなところで戦っているので、トップ選手がどういう練習しているんだろうとか。たまに平原康多さんが練習で立川に来たりとか西武園でお会いしたりするので、どういう雰囲気でやっているのかとか見せてもらったりとかしています。
女子はレースが終わればフラットなので、けっこうセッティングとか練習メニューとか聞いていますね」
-デビューしてから今まで心がけていることは?
「レースでは最後まで諦めない! 毎回連に絡むことを目標にしています! 選手としては、ふざけてることも多いですけど(笑)、後輩に目標にされる選手になりたいなと思っています。簡単に諦められることはしないなって思っていますけど」
-ガールズケイリンを走っていて楽しいですか?
「楽しいですね! 自分には合っているのかなと思います。きついことも多いんですけど、その分、自分に返ってくるので本当に向いてますね」
-自分のために走っている?
「まずは自分のためはもちろんなんですけど、その先にお客さんと一緒に、この間のアルテミス賞もそうですけど、ファン投票で投票してもらって、なかなか勝てなかった中でやっと勝てて、場内で応援してくれた人や後からSNSで反応してくれた方も含めて、お客さんとの一体感は本当に自分のやりがいですね。まず自分が頑張らないと応援してもらえないので、まずはそこだと思います」
-自分に投資しているところは?
「4年くらい前にちょっと厳しいのかなと思った時期があって、その時に(高木)真備の練習を見せてもらったんですよね。それまではずっとデビューから同じ練習を毎日やっていたんですけど、真備の練習を見せてもらったら、すごい進化しているんだなと思って、新しいものを取り入れて自分のものにしていかないと勝っていけないと思ったので、流行りのセッティングとか部品とか取り入れるようにしていますね。きつくても、そこは試してみてダメならダメで、よかったら取り入れようって、全部やっていますね。
6年振りにガールズグランプリに乗りましたけど、その年の2年前くらいに『3年後にガールズグランプリにもう一回乗ろう』と思って、練習とセッティングを全部変えたので、それを考えると結果が出るのが早かったなって思いました。変えるだけでこんなに変わるんだなって思いました」
-6年は土台作りだった?
「今思えば土台作りになったなと思います。ケガからの復帰の早さ等もそこで培ったと思うし、ケガした後に自転車乗ってみた時にどのくらい戦えるかなって計算するのが早くなりましたね。そういうところで成長していると思います。
これをこうしていけばもう一回ガールズグランプリを獲れると信じて自分でやっているので。ガールズグランプリって難しいですけどね(苦笑)。乗るのも、獲るのも難しいですね」
-ファンの皆さんにメッセージをどうぞ。
「節目の10年を迎えましたけど、これからさらにガールズケイリンを発展させられるように、自分自身も頑張っていくとともに、ガールズグランプリに出られるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!」